日本のジャズシーンを開拓する若い世代

Photo: Christian Chen / Unsplash.

現在の日本のジャズシーンはどんどん活性化してきている。ジャズは、歴史的に見ても様々なジャンルが取り込まれて進化していくジャンルだ。ジャズを演奏するミュージシャンたちがリアルに体験してきた音楽がジャズに組み込まれることも多く、2010年くらいからは、Robert Glasperを代表するようなアーティストの活躍で、ヒップホップリスナーにも受け入れられるジャズも確立してきた。そして日本でもこのような動きは顕著になり、若いジャズミュージシャンたちを中心に、ジャズは自分の体験を通して語られるべきだという意識が芽生え始めた。例をあげると、ドラマーの石若駿や、米国から帰国したトランペッターでピアニストの曽根麻央といった1990年代生まれのミュージシャンたちだ。

日本は、世界の中でも最もジャズが流れる国の一つだと言われている。チェーン店のカフェ、居酒屋、駅ナカのビルでもジャズを身近に聞くことができる。しかし、それはBGMとして大衆化されたジャズで、生きているジャズではない。そのことを彼らのようなミュージシャンたちは自覚し、ジャズが本来持つ音楽の魅力を人々に伝えるにはどうしたらいいか、自分たちの音楽をどうやってリスナーに届けるかを真剣に考えてきた。パンデミック以前には、ジャズ以外のライブハウスやバー、ギャラリースペースなど様々な場所でライブを企画している姿があった。

Taku performing.

ミュージシャンも、演奏する場所も力を合わせ、BGMではない日本の熱量を発信している。このように、人々にジャズをもっと理解してもらうための試行錯誤を経て、今、ライブ配信という新しい方法を味方に、ミュージシャンたちは自分たちの音楽を語り始めている。

ニューヨークに渡り自己研鑽を積んだヴォーカリストのTAKUや、前述の曽根麻央のステージをOh!Jazzの中でぜひ体験してほしい。これまで日本のジャズシーンには少なかった男性ジャズヴォーカルや、二つの楽器を操る二刀流演奏家というジャンルを開拓し、独自のスタイルを切り開く姿を目撃できるだろう。

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The young generation pioneering the Japanese jazz scene

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